出版再生?

出版再生、カギは? ヨーロッパの取り組み

 書店の本を選ぶ能力や、大型店偏重の配本の見直しも必要だ。日本は返品自由の委託制がほとんどで、本を返せるから「選択眼」が育たず、売れ筋は大型店に集中する。独英などでは、返品も認めるが買い切りが原則。書店はリスクを負うが粗利益率も35%程度(ドイツ)で、日本の2割強よりはるかに高い。

 買い切り原則の「責任販売制」を広げ、英国のような小さな書店の具体的な支援策が求められる。抜本的な対策を講じなければ出版文化そのものが危うくなる。

ちょい、見つけたので。
8年ほど前に調べたときと何も変わってないなあ、と。そして、どうにもならないのも変わってない。
あ、出版社が潰れるようになったのが変わったか。そもそも、出版社が出版点数を増やすのはカネを回すため。取次は初版についてはカネを前払いしてくれるから、出版社はとりあえずカネを確保できる*1。で、ぐるぐるやってたところで、そろそろ耐えきれなくなったところが出てきた、と。


書店については雑誌を抜きにして話をするのは意味がない。
この記事では触れてないが、書籍よりも雑誌の落ち込みの方が大きい。


新刊は8万点超す 「出版年鑑2007」発行

 『出版年鑑2007』が出版ニュース社から発行された。それによると、06年の新刊点数は8万618点で前年に比べて38点増え、過去最高となった。一方で売上高は1.3%減の約2兆2628億円。96年をピークに、長期の減少傾向が続いている。書籍は2.2%増の約1兆95億円だったが、雑誌が3.9%減の約1兆2533億円。

小さな書店の売上の主力は雑誌なので、雑誌の売上減の方が影響が大きい。雑誌はコンビニや駅の売店でも売っているからここ20年はずっとじり貧だったし、コミックは少子化でこの先も売れる見込みないし、インターネットでこれだけ情報を集められると情報誌系も苦しい。
ちなみに、書籍は少数の大ベストセラーがあるだけで前年比が変動する。何年か前、前年を上回ったのは「ハリーポッターの新刊が発売されたから」だったはず。もともと、その程度の規模の業界なわけで、だからこそ、大手出版社はこぞってメディアミックスに走っている。


書店に話を戻すと、ひたすら入れ替えるだけですむ雑誌に比べて、書籍を売ろうとすると、どうしてもある程度のスペースが必要になる。が、そのスペースすら確保できない書店がいっぱいある。仮にあったとしても、買い切りではまず資金が持たない(雑誌に比べて書籍の回転率は圧倒的に悪い)。結局のところは、目利き以前の問題じゃないかなあ。
ちなみに、委託販売でリスクが低いからこそ小さいところでもそれなりに品揃えをすることができてたわけで、買い切りになったらそれこそベストセラーしかおかない書店が激増して、専門書の類はアマゾンのようなネット書店か都心の大型書店のみで販売するようになるかと。
書籍は再販制度でどこで買っても価格が同じだから、書店は構造的に他店との差別化が難しい。事実上、立地が売上のほぼ全て決めるわけで、新規参入によるデメリットもほとんどない。将来的には、近隣では絶対に売っていないようなマイナーな書籍まで揃えた超大型書店と、それなりの収益が見込める他業態の店舗に併設されたほとんど形だけの小さな書店だけが残る、と以前考えた未来予想図はそのまんまか。まあ、なんだかんだいって最強の業界保護策である再販制度がある以上、当面はそれほど変わらないだろうけど。


何か他にも思いついたことがあったはずだが、書いているうちに忘れたorz

*1:取次の本質は金融だよもん。